
新年度のスタートというと、仕事や学校、家庭の中でも役割や環境がガラリと変わることが多い時期ですよね。
そんな変化があちこちで起こるこの季節は、社会全体もどこか「切り替えなきゃ」「頑張らなきゃ」というムードに包まれています。
そして、役割・環境が変わらなくてもなんとなく周りの空気からプレッシャーを感じている人も多いかもしれません。
そんな中、知らず知らずのうちに「完璧でいなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と自分に強くプレッシャーをかけてしまっていたりしませんか?
カウンセリングにいらっしゃるクライエントさんには「完璧主義で困っている」と悩む方が少なくありません。
そんな完璧主義には高める完璧主義と苦しめる完璧主義の二つがあることをご存じでしょうか?
自分を苦しめる完璧主義
自分を苦しめる完璧主義は「社会規定型の完璧主義」です。
これは、「周りから完璧を求められている」と感じることが原動力になっているタイプで、完璧であることの軸が外・他者にあるものです。
社会規定型完璧主義では、周りの評価や期待を気にしすぎてしまったり、自分が完璧じゃないと周りから受け入れてもらえないのでは…と感じてしまうことが多いです。
こうした完璧主義は、自分の心をどんどん追い詰めてしまうため、なかなかやろう・やらねばと思っても行動に移せなかったり、逆にいくら取り組んでも満足ができないといった特徴を持ちます。
その結果として、やがて自己肯定感が下がってしまう、人とのかかわりが上手く行かなくなってしまう、気持ちが落ち込んでしまったりとまさに悪循環の落とし穴にはまってしまうことが多い完璧主義です。
自分を高める完璧主義
自分を高める完璧主義は「自己志向型の完璧主義」と言われています。
これは、他人の期待ではなく、自分自身の「こうなりたい」「もっと成長したい」という想いが原動力になっているタイプで、完璧であることの軸が内・自分にあるものです。
自己志向型の完璧主義は、目標に向かって計画的に努力ができ、なおかつ自分のペースで小さな達成も喜びながら前に進めるという特徴があります。
このタイプの完璧主義は、前向きな行動につながり、成長のエネルギーにもつながるため、心に良い循環や良い影響を生みやすいです。
自己志向型にも落とし穴はある
しかし、この自己志向型の完璧主義だとしても、自分に厳しすぎる傾向があると悪影響を及ぼします。
例えば、高すぎる目標を掲げ、途中経過を見れずに最終的な結果だけを求めてしまったり、ミスを許せず自分を責め続けてしまったりするといったことです。
そんなときに大切なのが、セルフコンパッション(自分へのやさしさ)という考え方です。
セルフコンパッションの研究の第一人者であるクリスティン・ネフ(Kristin Neff)は、「小さな努力を認めること」「過程を評価すること」「自分を責めず、労わること」が、より健康的な自己成長につながるとしています。
「やさしく高める完璧主義」をめざそう
完璧に見える人も、誰でも見えないところで悩んだり、失敗したりしているものです。
みんな、“完璧じゃない”部分を抱えながら、生きているものです。
だからこそ、「ちょっと疲れてるな」「なんだか最近、落ち込みやすいな」そう感じたときは、立ち止まって「もしかして、ちょっと完璧を目指しすぎていない?」「今日は少し休んでもいいんじゃない?」「最近よくやってると思うよ」と声をかけてみてあげてください。
毎日を少しでも楽に、だけれど少しでもなりたい自分に近づけるように、「やさしく高める完璧主義」を目指して行きましょう。
もし今、心が疲れていたり、ひとりで抱えこみそうになっていたら、よかったらオンラインで、あなたの気持ちをお聞かせください。
カウンセリングルームsatoでは、「話してみることで少し楽になる」そんな小さなきっかけを大切にできたらと考えています。