
先月3日間持続エクスポージャー療法(PE療法)の研修をオンラインで受けてきました!
PE療法とは
PE療法(prolonged
exposure)とは、PTSDの治療として世界でも日本でも最も効果が実証されており、治療の第一選択としても推奨される治療法です。
もともと関心があった心理療法で、1日研修を受講したり書籍を読んだことはあったのですが、3日
間の本格的な研修は初めてで、過去に既に受講した職場の上司からも学んでおいて損はないとおすすめしてもらっていたこともあり、非常に楽しみにしていました!
PE療法は全10回のセッション(多くて15回ほど)から構成される治療法です。PE療法では、PTSD症状を長引かせる要因として、「トラウマに関連した場面を避けてしまうこと」、「トラウマに関連した記憶や考え、イメージを避けてしまうこと」、そして「それらによって否定的な認知をうまれてしまうこと」が挙げられます。そして、この悪影響を長期化させる要因にアプローチするために、主に実生活内曝露とイメージ曝露という二つの取り組みを行います。
実生活内曝露とは、「トラウマに関連した場面を避けてしまうこと」に取り組むものです。実際には安全であるにも関わらず、トラウマのせいで強い不安や怖さが生まれてしまい、今までは問題なかったもののトラウマ後に生活の中で向き合えなくなっているもののリストを作りながら、それらに向き合うことにトライして行く方法です。
イメージ曝露とは、「トラウマに関連した記憶や考え、イメージを避けてしまうこと」に取り組むものです。トラウマとなった体験をセラピーの場で具体的に繰り返し語り、その体験に立ち戻りながらトラウマ記憶と向き合う方法です。
これらのことに毎週取り組んで行くことで、徐々に慣れが生じて避けていたものは危険ではないと気づけたり、トラウマ体験も過去のものとして穏やかに記憶の箱にしまうことができるようことができるようになって行きます。
PE療法の中で感じた他の心理療法との共通点
研修の中でPE療法自体についての学びはもちろん多くあり、身をもってその有用性を感じることができたのですが、それ以外の面での発見や気づきも多い3日間でした。
PE療法は各セッションがある程度構造化されており、研修の中では主なセッションのロールプレイを二人一組でたんまりと行いました。セラピスト役はもちろんですが、架空事例をもとにクライエント役も体験することができました。ロールプレイとはいえ初対面の相手に自分のトラウマを話す体験に独特の緊張や不安が喚起されたことが印象的でした。普段クライエントさんは特にセラピストに慣れるまでにはこれ以上の想いを持ってカウンセリングにいらっしゃってるんだろうなと思うと、専門家として責任を持って仕事をしないといけないな…と改めて感じました。
また、PE療法はセッション内で自身のトラウマ体験を安心できる環境の中で言語化するイメージ曝露に取り組んだ後、必ず時間をとって体験の振り返りを行います。
この作業は私が関心を持つAEDP™(加速化体験力動療法)との親和性を感じました。AEDP™では、自力触れることができない感情にとどまり身体的な感覚にも意識を向けながら、感覚が変化するまで体験しきることで心の痛みが変化していくと言われています。AEDP™では、セラピストとの安全で安心できる関係の中でそれらの作業が行われるのですが、作業が終わった後にメタプロセシングという体験の振り返りを行います。メタプロセシングの作業を通して、体験の定着や感情の変容・拡大が生じるためとても重要な作業とされていますが、PE療法の研修でもイメージ曝露後の振り返り作業の大切さについて先生は何度も強調されていました。効果的とされる心理療法には共通性があるもんだなあと意外な角度からの発見でした。
せっかく受講したからには、現場に還元したい!ということで、現在こまち臨床心理オフィス横浜で対面でのPE療法の申し込みを受け付けています。詳細はこちらのページをご覧ください。